4月1日より消費税率が8%となりました。それにあわせて各報道機関は3月31日までにまとめ買いしている様子等を一斉に報道しました。
しかし、まとめ買いすることはそんなに得なことなのでしょうか?
こうした現象の中で思い出されるのが京セラ会計思想の原点(略して京セラ会計学)における「資材1升買い論」です。京セラ会計学とは京セラの亡くなられた斎藤明夫さんという経理部長と稲盛社長(当時)が一緒に考えて創ってきたものです。斎藤さんは退社後しばらくしてから、「京セラ会計思想の原点」という本を出版されました。その本は、稲盛社長が指摘したことを中心にまとめられたもので、今では京セラの経理のバイブルになっています。そこでは次のように書かれています。
社長は常に余分なものを買ってはならない、その日その日の必要なものを買う“1升買い”を説かれた。余分に買うことは無駄遣いのもとである。
一方、買い入れたものをそのつど費用に落とせば会計処理もシンプルになる。また倉庫もいらず無駄な経費が省け、在庫金利もかからない。社長は物価騰貴に対しても物価値上がりを見越して大量に買い入れを行うという姿勢よりも、メーカーはメーカーに徹し生産で儲けるという姿勢を強調された。
一般消費者と会社経営者との立場の違いはあるにしても共通点もあるのではないでしょうか?
例えば、大根をまとめ買いしている様子がテレビで放映されていましたが、10本買ったうち食べきれなくて1本腐らせてしまったら、3%得するどころではありません。また、すぐには腐らないものや全く品質が変化しないものでも、沢山あると言うことで無駄に消費してしまう可能性大です。それどころか4月以降消費が落ち込んだ場合、本体価格そのものを下げて結局同じような値段で販売されるものも沢山あると思います。
そして、4月からは一時的に消費は落ち込むにしてもその後は8%が当たり前になって日常が戻ると思います。人間とは不思議なもので、最初は違和感を抱きつつも繰り返し同じ現象が続くとそれに慣れるからです。
次は、10%に上げるかどうかが控えています。今年の年末までに判断するようですが、どうなるのでしょうか?私個人としては、いずれ10%になるにしても、複数税率を同時に導入するとしたら平成27年10月1日に間に合わないのではないかと思っています。
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